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東京ミッドタウン日比谷の皆様
≪不動産業≫東京ミッドタウン日比谷TOKYO MIDTOWN HIBIYA
所在地:東京都千代田区有楽町1-1-2
URL:https://www.hibiya.tokyo-midtown.com/jp/
竣⼯年⽉:2018年2月
延床面積:189,799.78㎡
認定区分:トップレベル事業所
事業所の業種:オフィスビル
お話しいただいた方
三井不動産株式会社
日比谷街づくり推進部 事業グループ
中島 美緒様

三井不動産ビルマネジメント株式会社
オフィス事業推進本部 エリアマネジメント事業二部
東京ミッドタウン日比谷オフィス
主事 杉本 譲様

三井不動産ファシリティーズ株式会社
オフィスマネジメント五部 東京ミッドタウン日比谷
オペレーションマネージャー 小杉 武司様

三井不動産ファシリティーズ株式会社
オフィスマネジメント五部 東京ミッドタウン日比谷
オペレーションスタッフ 間方 邦彦様

省エネ×創エネ×グリーン電力で築いた、環境意識の高い企業に選ばれるビル

貴事業所の基本情報(設立年、従業員数、主要事業など)を教えてください。

杉本:2018年2月に竣工した大規模な複合施設で、大きくオフィスエリアと商業エリアの2つに分かれています。
日中帯は約100人のスタッフが勤務し、オフィスエリアは毎日約5,000人のワーカーが来館しています。商業エリアにはショップやレストラン、映画館などが集約されており、年間約1,700万人(2023年度)が訪れます。

杉本 譲様の写真
中島 美緒様の写真

事業所において地球温暖化に対し、どのような課題意識を持っていますか?

中島:三井不動産として、2050年に向けたCO₂削減の取り組みを進めており、その一環として北海道での植林活動なども行っています。日本全体、さらには世界全体でCO₂削減の動きが進む中、東京ミッドタウン日比谷も、ビル単体でのCO₂削減を目指し、環境に配慮した設備を整えた上で建設されました。三井不動産を代表するビルの一つとして、省エネやCO₂削減に向けた日々の努力を続けています。
環境配慮の取り組みについては、ソフト面(設備設定の変更など)は比較的実施しやすい一方で、ハード面(設備改修や環境配慮型の部材選定など)にはコストがかかるため、事業活動と環境対策のバランスを取ることが引き続き課題となっています。
また、東京ミッドタウン日比谷の提供価値の一つとして「In The Park」というコンセプトを掲げています。日比谷公園や皇居に隣接する立地を活かし、大規模な屋上緑化をはじめとした環境配慮の取り組みを進めています。

杉本:テナント企業との対話を通じ、環境配慮への意識がますます高まっていると感じています。環境に配慮したビルを優先的に検討する企業も増えており、三井不動産としても、より一層環境への配慮が不可欠だと認識しています。
また、省エネとは少し異なりますが、SDGsの意識向上を目的としたイベントの実施にも取り組んでいます。たとえば、正しいごみの分別を学ぶ体験イベントや、各テナント企業によるSDGs関連の取り組み事例の紹介などを行い、ビル側だけでなく、テナント企業とともに環境意識の向上を図っています。

省エネ・CO₂削減における具体的な取り組みを教えてください。

東京ミッドタウン日比谷では、次に挙げる例のような省エネ(蓄エネ)・創エネを組み合わせ、三井不動産の中でもトップクラスのエネルギー対策を実施しています。

  • • エネルギー使用状況を毎月定量的に確認・管理し、空調・熱源・照明などのビル設備の運用を適宜見直すことで、省エネと利用者の快適性の両立を図っています。
  • • 省エネに配慮した部材選定を行い、エネルギー効率の向上に努めています。
  • • 日比谷公園と一体となる緑化空間を整備し、敷地内には合計約2,000㎡の緑化エリアを確保。これにより、ヒートアイランド対策にも取り組んでいます。
  • • 三井不動産全体としても、グリーン電力の導入やメガソーラー事業を推進し、クリーンエネルギーの供給に力を入れています。

今後も、持続可能な社会の実現に向け、環境負荷の低減に取り組んでまいります。

トップレベル事業所の認定申請の動機を教えてください。

杉本:三井不動産として、事業的・社会的責任を果たしていこうという流れの中で、代表的な物件である東京ミッドタウン日比谷が、トップレベル事業所の認定取得を目指すことになりました。多数ある環境認証の中でトップレベル認証を取得した理由は、この認証が特に竣工後の運用面の工夫を評価するものだと理解しており、事業者としての取り組み意識がより濃く評価されると認識したためです。

インタビューの様子
杉本 譲様の写真

認定の為に取り組んだ具体的な活動や設備投資を教えてください。

杉本:認定のために新たに設備投資を行ったというよりも、竣工時から備わっている設備が活用されています。共用部にはほぼ全てグリーン電力を導入しており、三井不動産が運営するメガソーラー事業からの受電や、当ビルの屋上には太陽光発電システムの導入も行っています。
また、空調温度の制御によるエネルギーロスの削減など、様々な取り組みを実施しています。トップレベル認定の特徴として、設備のスペックだけでなく運用面も評価されるため、最前線で働くファシリティーズの皆様が中心となり、推進いただいています。
日々のエネルギー推移の把握も認定要件に含まれており、月単位で会議を開催し、細かい確認を行うことで、エネルギー管理を徹底しています。東京電力からの受電に加えてガスによるビル内での発電など多様な手段を活用し、運用の工夫やさらなる削減策を検討し、毎年新たな省エネ対策に取り組んでいます。

中島:竣工から6~7年が経過し、現在は設備の運用がオーバースペックになっていないか、見直しを進めています。
例えば、1階から9階までのシャトルエレベーターは8台設置されていますが、2024年から6台に削減しました。竣工当初は8,000人の出社を想定していましたが、リモートワークの普及もあり、現在はり5,000人程度で推移しているため、現在の状況にあわせて運用に最適化を図りました。これはアナログな取り組みではありますが、確実にエネルギー削減に貢献していると考えています。

杉本:空調についても、快適性を維持することを大前提としつつ、エネルギーロスを抑えるために細やかな空調機のチューニングを行っています。利用者が滞留する空間と動線としてしか利用されない空間など、空間ごとの特徴に応じた快適性とエネルギー利用の最適なバランスを管理しています。

認定を受けるために特に苦労したこと、または工夫したことはありますか?

杉本:認定取得に向けて2020年頃から準備を開始し、2022年度に取得しました。現在のメンバーは取得後に加わったため、前任者が築いた仕組みを維持することが主な役割となっています。当初は認定項目が多く、かつ大規模な物件であることから、メインの3社で分業しながら進めたものの、非常に時間がかかったと聞いています。

小杉:すでにトップレベル事業所の認定を取得しているグループ会社のデータを活用し、アドバイスを受けながら進めたため、ゼロからの構築ではなかったと思います。しかし、各項目の対応には現場での確認が必要で、厳しい部分も多くありました。同じグループ内の他の物件の取り組み状況も参考にしながら、水平展開を図り、認定取得を進めました。

小杉 武司様の写真
中島 美緒様の写真

認定を受けたことで得られたメリットは何ですか?

杉本:トップレベル事業所の認定を受けたことで、環境に配慮したビルとしての社会的意義をアピールできる点が大きなメリットです。
環境意識の高い企業が増えており、環境配慮が不十分なビルでは投資を受けにくくなってきているという現状があります。そのため、東京ミッドタウン日比谷の入居企業は、環境配慮を重視する企業として認識されやすいというメリットがあります。

認定を受けた上で、今後掲げる展望や目標について教えてください。

中島:当社グループは2021年に新たな目標を策定し、2030年までに2019年比でCO₂排出量を40%削減、2050年度までに温室効果ガスのネットゼロを目指しています。

杉本:引き続き認証を維持しながら、長期的に環境に配慮した運営を続けていきます。新たなビルが建設されることで、最新の設備スペックを持つ建物が増えるのは避けられませんが、運用面でここまでの取り組みを継続している物件は少ないと考えています。今後も運用の工夫を重ね、省エネ対策に取り組んでいきます。

東京ミッドタウン日比谷の外観
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